構造形式

セーフティウォール(ASW)工法擁壁にはブラケット式、自立式、バックアンカー式、ピット式の構造形式があり、高低差や設置環境に応じて最適な方法をご提案いたします。基本構成は鉄骨と根巻コンクリートの基礎杭と鉄骨支柱を主材とし、支柱間に鉄筋コンクリート壁面を支持させます。高低差に応じて土圧外力に抵抗する応力を発生させる機構を設置しバランスさせる構造です。

ブラケット式の特長

土圧による外力に抵抗するモーメントを発生させるため、支柱ごとにブラケット版を、その先端に梁形状のウエイトを設置しバランスさせる構造です。ブラケット・ウエイト形状を変形させることが可能なので設置環境にフレキシブルに対応可能です。また、構造物を避けて建物の杭基礎を設置可能なため、建築への制限も微小です。
適用規模 3.5m < 高低差h < 9.0m程度

自立式の特長

土圧による外力に対し、基礎杭と地盤反力で抵抗しバランスさせる構造です。I型の断面ですので既存擁壁を残したまま施工できるのでリニューアルに最適です。
適用規模 1.0m < 高低差h < 3.5m程度

バックアンカー式の特長

土圧による外力に対し、支柱ごとに設けるタイバーと先端に取り付けた板状の鉄筋コンクリート版の受動抵抗によりバランスさせる構造です。受動面板は地山内に設置する必要がございます。自立式の補強用途に使用されます。
適用規模 2.0m < 高低差h < 4.0m程度

ピット式の特長

自立式を利用した構造です。多段式地下ピット昇降方式の立体駐車場の躯体に利用いただけます。在来構造で不可欠な耐圧盤が不要であり、支柱を山留支柱に兼用いただくことが可能です。
適用規模 2.0m < 深度h < 4.0m程度

設計法

準拠する設計基準の概要

建築基準法・同施行令
建築基礎構造設計指針(日本建築学会)
建築構造設計指針(日本建築士事務所協会)
鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(日本建築学会)
建物の構造規定(日本建築センター)
地震力に対する建築物の基礎の設計指針(日本建築センター)
地盤調査法(地盤工学会)
宅地防災マニュアルの解説(宅地防災研究会)
山留設計施工指針(日本建築学会)
道路・土工-カルバート工指針(日本道路協会)

設計方針について

①水平力

擁壁に作用する主働土圧は杭(H形鋼+根巻コンクリート)に作用する水平地盤反力で抵抗させます。

②安定

転倒モーメントに対しては、ブラケット及びウエイトの重量による抵抗モーメント、またはバックアンカーの受働土圧による抵抗力にて安定を図ります。

③支持

鉛直荷重については実況に応じた上載荷重を見込み、壁版・笠木コンクリート・支柱の重量は杭で支持するものとします。